田後について
ダンゴウオパラダイス!
ダイナミックな地形、そして、ヒメタツのハートマーク(交接)が観察されることでも注目される田後(たじり)。
そんな鳥取県岩美町のダイビングスポット・田後のダイビングスポット情報をその魅力とともにご紹介します。
ダイビングの基本情報から、季節ごとの見どころをまとめたシーズナリティ、ダイビングポイント紹介まで、海の情報満載でお届け!
目次
田後の概要
田後は、鳥取県の最北端の町・岩美町に位置する日本海に面したダイビングスポットです。
京都府丹後市の経ヶ岬から、鳥取県鳥取市の白兎海岸までの東西約110kmにおよぶ山陰海岸ジオパークの浦富海岸エリアに含まれ、その海岸線では、壮大で多彩な海食地形を目にすることができます。
まさに町名・岩美町の名の通りの景観が広がっていると言えるでしょう。
ダイビングの基本情報
特徴的な地形からジオパークに指定されている田後の海。
日本海の荒波に浸食された海岸線の地形は複雑かつダイナミックで、この神々しいほどの地形は水中世界にも及んでいます。
入り組んだ洞窟やくぐれる穴など変化に富んだ地形を楽しむ、ジオダイブが魅力です。
また、地形だけでなく、多種多様な生物の営みが観察できるのも特徴のひとつ。
昼夜を問わず潜れる環境にあり、生物の生態をじっくり観察や撮影ができます。
特筆すべきは、サクラダンゴウオ※の数の多さです。
春には“天使の輪”を持つ幼魚、秋には成魚が見られ、1本のダイビングで100個体ほど観察されたこともあります。
また、ダイビングスポット・田後の名を一躍有名にしたのが、ヒメタツの交接です。
タツノオトシゴの仲間は、メスが卵をオスの育児嚢に産み付けます。
その際に、ヒメタツのオスとメスが向かい合い、メスからオスへと卵を移す姿がハートのように見えることから、“ヒメタツのハートマーク”と呼ばれ注目を集めています。
ちなみに、2011年当時は、ハナタツともタツノオトシゴとも異なる姿からタツノオトシゴの仲間の交接として紹介されましたが、2017年にヒメタツとして新種登録され、話題となりました。
このヒメタツのハートマークが観察できるのは、春〜初夏。
そして、夏の夜には、ハッチアウト(孵化)行動も観察されています。
また、小さな生物だけでなく、秋には迫力ある回遊魚の群れも姿を現すなど、田後の海は、多彩な見どころでダイバーを迎えてくれます。
ダイビングのシーズナリティ
田後の海の魅力を春夏秋冬に分けてご紹介します。
春の田後
春の人気生物といえば、サクラダンゴウオの幼魚。
どのポイントでも見ることができ、1枚の海藻の上で20匹の幼魚が観察できることもあります。ヒメタツの交接(ハートマーク)が見られるのもこの時期です。
ミノウミウシを中心としたカラフルなウミウシにも注目。また、浅場には、ホンダワラの仲間やクロメ、ワカメなどの海藻が森のように茂ります。
夏の田後
夏は透明度が高くなるシーズンです。
初夏には沖に姿を現す回遊魚を狙った迫力あるシーンに出会えます。
地形ポイントでは、ゴツゴツした岩肌の水路を進んだり、洞窟をくぐったり、地形も存分に楽しめます。
透き通るような高い透明度の日には、浅瀬のポイントでのんびりと浮遊しているだけで癒される、気持ちの良い季節です。
秋の田後
サクラダイ ハナハゼ
秋は対馬海流に乗ってやってくる季節来遊魚たちが水中に彩りを添えてくれます。普段から日本海側に生息する生物と太平洋側に生息する生物が入り混じり、海の中は賑やかそのもの。
アジの群れにタカベがいたり、カワハギがホンソメワケベラにクリーニングされていたりと、思わぬコラボを目にすることも。
台風も通過する時期ですが、荒れた後には、エチゼンクラゲ、シイラの群れ、ムラサキダゴなどの珍客が観察されることもあり、意外な生き物の登場でワクワクさせてくれます。
冬の田後
アイナメの卵 ヤリイカ
冬は厳しい日本海の荒波と強風が牙をむきます。
荒れる日も多いですが、意外にも海中は透明度が高い日も多くなります。
冬の大きな見どころは、アイナメの卵保護です。
また、水温の低い海に生息するアイナメが卵を産み守っている周辺で、季節来遊魚のキンギョハナダイやサクラダイ、アカオビハナダイなどの幼魚が泳いでいたり、ダンゴウオとハナイカが同時に見られたりといった、日本海側の寒流と暖流が重なるエリアならではのシーンに遭遇することもあります。
田後のダイビングポイント紹介
田後には10ヶ所のダイビングポイントがあり、ボートダイビングがメインです。
ゴイシワラ
流れもなく岬の陰になるので風よけのポイントとしても訪れる頻度が高いポイントです。
サクラダンゴウオやヒメタツの生態などを観察することができ、ボート初心者からカメラ派の上級者まで幅広く楽しむことができます。
【エントリー・スタイル】ボート(港から約10分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)
【最大水深】15m
【流れが出た場合】流れが出ることはほとんど無い
【ナイトダイビング】○
菜種島(なたねじま)
約15kmに渡って広がる浦富海岸の中でも、特に絶景と有名なのが、城原海岸の菜種五島。
その先端にそびえる高さ60mの菜種島付近のポイントです。
洞窟が2カ所あり、透明度が高くなる夏に光が射し込む様子は必見。
水深が浅い半水面洞窟のため、初心者から上級者までのんびりと探検できます。洞窟内は、見上げる角度や位置によって様々に色を変えますが、太陽の位置、水深、穴の方向の3つの条件が揃うと、洞窟内部から左右の穴がそれぞれ青と緑に輝く光景が見られます。
【エントリー・スタイル】ボート(港から約10分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)
【最大水深】11m
【流れが出た場合】流れてもコース取りに影響を与えない程度
【ナイトダイビング】×
ヤマダシ
地元漁師たちも一目置くほどの魚の多さを誇るダイビングポイントです。
回遊魚狙いで潜る際に使われることが多いポイントでもあります。
流れがあるときの方が回遊魚の数が多いので、流れに慣れているダイバーにおすすめ。
猛スピードで目の前を行き来するハマチ(ブリ)、ヒラマサなどの回遊魚の群れは必見です。
根のトップで水深15m。
ヤギ類やムチカラマツ科の仲間も多く、季節来遊魚やエビ・カニたちなどの小さな生物にも出会うことができます。
【エントリー・スタイル】ボート(港から約10分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)
【最大水深】30m
【流れが出た場合】流れによってダイビングを中止する場合がある
【ナイトダイビング】×
その他のダイビングスポット
12M、大坊主、小坊主、イガイトリゼ、太郎兵衛島、イトグリ
田後へのアクセス
車でのアクセス:
鳥取自動車道・鳥取ICから約40分。
空港・駅からのアクセス:
鳥取砂丘コナン空港より車で約35分。
JR鳥取駅より車で30分。
田後の観光情報
山陰海岸ジオパークでのダイビングを楽しんだ後は、ぜひ、陸や船上からもその雄大な地形を見てみましょう。
浦富海岸自然探勝路という約3kmの遊歩道でその起伏を体感するもよし、浦富海岸島めぐり遊覧船でクルージングを楽しむのもよし!
▶︎浦富海岸自然探勝路(http://www.iwami.gr.jp/2473.htm)
▶︎浦富海岸島めぐり遊覧船(https://yourun1000.com/pleasureboat/)
岩美町の南東には、農林水産省の日本の棚田百選にも選ばれた横尾棚田が広がります。地滑りによってできた緩斜面を利用して作られた田園風景は、絶景として有名です。
また、高さ28mから2段になって落下する滝・南滝も見どころです。
そして、岩美町は、松葉がにの漁獲量日本一の地。
そんな岩美町でダイバーにおすすめの穴場スポットが、かにっこ館という小さな水族館です。松葉がにをはじめ、ズワイガニ、タカアシガニー、キンギャクガニなど、多種のカニが展示されています。
そして、ダイバーに人気のハナヒゲウツボやフウセンウオの仲間も見られます。
▶︎かにっこ館(https://kanikko.jp/)
また、鳥取港から2分の鮮魚市場・かろいちには、新鮮な魚介類がずらり。松葉がにの解漁期間となる11〜3月には、松葉がにも並びます。
おみやげ選びはもちろん、海鮮料理が味わえる食事処も充実しています。
▶︎鮮魚市場かろいち(https://karoichi.jp/)
田後でダイビングをした後には是非地魚を使った料理も堪能したいところ。
オススメは地元の新鮮な魚料理が自慢の旬魚たつみ。
春夏秋冬で内容が変わるこだわりの御膳が大人気。ボリューム満点で満足すること間違いなしです!
▶︎旬魚たつみ(https://www.syungyo-tatsumi.jp/)
また、道の駅 きなんせ岩美の海陽亭もおすすめです。
いけすから新鮮なまま調理される海鮮は、鮮度抜群。先着25名限定の500円のランチは要チェック!
▶︎道の駅 きなんせ岩美(http://kinanseiwami.jp/)
海鮮以外では、大江ノ郷自然牧場・ココガーデンカフェのパンケーキをぜひ。
飼いの鶏から獲れる天美卵を使用したパンケーキは、ふわふわでとろける食感。天美卵の風味と香りが、食欲を誘います。
▶︎大江ノ郷自然牧場(https://www.oenosato.com/)
情報提供:ブルーライン田後(http://blueline.lolipop.jp/index.html)
田後のダイビングポイント
田後で最近観察された生物
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