周防大島について
日本最大級のニホンアワサンゴの群生地へ!
瀬戸内海に位置する周防大島(すおうおおしま)のダイビングスポット情報をその魅力とともにご紹介します。
ダイビングの基本情報から、季節ごとの見どころをまとめたシーズナリティ、ダイビングポイント紹介まで、海の情報満載でお届け!
目次
周防大島の概要
周防大島は、山口県の東南部、瀬戸内海に浮かぶの島。
外周は約100kmで、瀬戸内海では淡路島と小豆島に次ぐ、3番目の大きさです。
山口県柳井市とは全長1,020mの大島大橋でつながっており、眼下に広がる日本三大激流のひとつ・大畠瀬戸(おおばたけせと)の渦潮(うずしお)を眺めながら渡ることができます。
なお、無料で車、自転車、徒歩での通行が可能です。
また、周防大島は、南国情緒漂うリゾート地でありながら、豊かな自然に触れられる場所でもあります。
大島アルプスと呼ばれる、4つの600m級の山が連なる緑溢れる景観をはじめ、春には約5kmに渡ってソメイヨシノが海岸沿いを彩るほか、高さ20mの延命の滝、そして、様々な形の奇岩も点在しており、ハイキングや陸の自然観光も盛んです。
そんな周防大島ですが、実は、ハワイとの繋がりがある島。
「瀬戸内のハワイ」と称されることもあります。
かつて官約移民制度(1985年〜)で約4,000人が、周防大島と周辺の島からなる大島郡からハワイへ移住したという歴史を持ちます。
現在でも、ハワイに親類を持つ周防大島の住民も多く、持ち込まれたハワイ文化が今も息づいているのです。
島内にはヤシの木が並ぶ海岸やハワイを思わせる建物、そして、ハワイアンショーが見られる施設など、ハワイの雰囲気を感じられる場所が多々あります。
また、青々と輝く瀬戸内海を望む眺望も楽しみましょう。
周防大島ダイビング基本情報
瀬戸内海は、周囲を陸に囲まれた閉鎖された環境です。
中国山地や四国山地から注ぐ川の水は流れ込みますが、外洋の影響はほとんど受けません。
水温変化が小さく、その環境に適した生物が多く生息している特殊な環境です。
ハオコゼやジョーフィッシュ、スズメダイなどのほか、他の地域より1.5倍は大きいニシキハゼも生息しています。
周防大島の南東沖には、日本最大級のニホンアワサンゴの群生地があります。
このエリアは、瀬戸内海で唯一となる海域公園・地家室(じかむろ)海域公園地区にあたり、レモンの森というダイビングポイントとなっています。
水深10m前後の場所に約2,000㎡に渡って群生するニホンアワサンゴは圧巻です。
このニホンアワサンゴの群生は、小さな生き物たちの棲み家ともなっており、様々な種類の魚たちの生態観察が楽しめます。
四季折々の生物の姿やその時期にしか見られない生態行動がじっくりと見られるダイビングポイントが揃っています。
ツマグロモウミウシ タツノオトシゴの出産
また、潮の流れが程よく入ってくるダイビングポイント・伊崎では、ハマチ、アジ、そして、季節によっては太刀魚などの回遊魚が泳ぐダイナミックな光景も見られます。
周防大島の北東に位置する柱島沖には、旧日本海軍の戦艦・陸奥(むつ)が沈んでいます。
陸奥(むつ)は、第二次世界大戦中の1943年6月に原因不明の大爆発を起こし、沈没。艦体の約70%が引き上げられており、乗組員の遺骨をはじめ、遺品、主砲などが回収されました。(その物品の一部は、陸奥記念館に展示されています)
艦橋部と艦首部等を除く、艦の前部分が今も海底に残っており、第1主砲、第2主砲、副砲、艦橋、照準器、士官室の浴槽などを見ることができます。
ダイビングのシーズナリティ
周防大島の海の魅力を春夏秋冬に分けて、ご紹介します。
春の周防大島
瀬戸内海には、春濁りがなく透明度が高い季節です。
水温が上がるにつれて、生物たちが活性化していくため、ヒメイカの交接・産卵、オクヨウジの婚姻色など、様々な生態行動を観察することができます。
中でも、アマモ場を1つの生態系とした場所がとても面白いです。
アナハゼの捕食やワレカラの子育て、ヒメイカの交接・産卵・ハッチアウトなどが観察できます。
夏の周防大島
水温が上がるにつれて、瀬戸内海は透明度が低くなってきます。
しかし、その濁りの中を好む生物が多く生息しており、生き物の生態行動がとても活発になる季節です。
ハオコゼの産卵やジョーフィッシュ(ニラミアマダイ)のハッチアウト、ナベカの求愛ダンス・産卵・ハッチアウトなどを見ることができます。
ジョーフィッシュのハッチアウト ナベカの求愛
また、山口県東部では、カブトガニの産卵が観察できます。
カブトガニ カブトガニ
秋の周防大島
春から夏にかけて多くの生物が産卵し、その孵化した幼少期であるプランクトンが多く見られます。
シタビラメの仲間 レプトケファルス
また、日本最大級と言われているニホンアワサンゴ群生地でサンゴの産卵(プラヌラ幼生の放出)を見ることができます。
冬の周防大島
水温が下がってくると、ニチロミノウミウシやゴマフビードロウミウシなどをはじめとするウミウシの仲間が多く見られるようになります。
ニチロミノウミウシ ゴマフビロードウミウシ
生まれてまもないスナビクニンやアイナメの卵保護・ハッチアウトなども観察できます。
スナビクニン アイナメ
また、冬の瀬戸内海は、潮の流れが遅く透明度も上がってくるため、戦艦陸奥を見に行きやすい季節となります。
ダイビングポイント紹介
周防大島の代表的なダイビングポイントを3つご紹介します。
レモンの森
約2,000㎡に渡って広がる、日本最大級のニホンアワサンゴの群生地を潜ります。
多様な地形に様々な生物が集まっているのも特徴です。
ゴロタからエントリーすると、藻場が広がり、さらに進むと砂地から砂泥になり、そして、岩場を越えるとアワサンゴの群生地に至ります。
様々な生物の生態観察ができますが、特に、ジョーフィッシュ(ニラミアマダイ)は、捕食、巣作り、求愛、ハッチアウト、生まれてまもない幼魚が見られます。
スズメダイの産卵・ハッチアウト、ハオコゼのペアリング・産卵も観察可能です。
【エントリー・スタイル】ビーチ(セッティングエリアから徒歩約2分。エントリー場所は岩場)
【最大水深】25m
【流れが出た場合】流れが出ることはほとんど無い
【ナイトダイビング】○
伊崎
湾の出入り口に位置し、流れが程よく入ってくるため、ハマチやタチウオ(時期により)などの回遊魚をはじめ、夜にはライトトラップでのプランクトンが多く見ることができます。
流れが早くなることがあり、エントリーできないことがあるので注意が必要です。
また、海が穏やかな日には、陸からスナメリが見られることも!
【エントリー・スタイル】ビーチ(セッティングエリアから徒歩約1分。エントリー場所は砂利)
【最大水深】40m
【流れが出た場合】流れによってダイビングを中止する場合がある
【ナイトダイビング】○
4畳半
4畳半ほどのアマモ場がいくつも点在し、その1つ1つに生態系ができています。
春は、その4畳半がとても賑やかになります。
【エントリー・スタイル】ビーチ(セッティングエリアから徒歩約1分。エントリー場所は砂利)
【最大水深】5m
【流れが出た場合】流れが出ることはほとんど無い
【ナイトダイビング】○
その他のダイビングポイント
戦艦陸奥、ナベカ団地
周防大島へのアクセス情報
船でのアクセス:
愛媛県松山市・三津浜港から防予フェリーにて約90分で伊保田港へ。(往路復路とも1日3便)
伊保田港からは防長バスにて約45分で到着します。
飛行機でのアクセス:
最寄りの空港は岩国錦帯橋空港で、羽田空港からの所要時間は約90分です。
空港からはタクシーにて5分ほどでJR岩国駅に到着、岩国駅から山陽本線にてJR大畠駅へ向かい(所要時間約25分)、大畠駅からは防長バスにて約20分で到着します。
車でのアクセス:
山陽自動車道、玖珂ICが最寄りのインターチェンジです。
玖珂ICからは国道437号線を経て約30分で大島大橋に到着します。
電車でのアクセス:
最寄り駅はJR山陽本線、大畠駅で、大畠駅からは防長バスにて約20分で到着します。
周防大島の観光情報
「瀬戸内のハワイ」と称される周防大島の歴史を知りたい方は、日本ハワイ移民資料館へ。
ハワイ移民の歴史から現在のハワイとの交流までを知ることができる資料館です。
▶︎日本ハワイ移民資料館(https://www.town.suo-oshima.lg.jp/syoukoukankou/hawaiishiryokan.html)
また、周防大島東部の陸奥の沈没地点を望む丘には、旧日本海軍の戦艦・陸奥の資料が展示されている陸奥記念館があります。
慰霊碑があるほか、遺品や艦の一部、貴重な資料などが展示されています。
▶︎陸奥記念館(https://nagisapark.jimdofree.com/陸奥記念館/)
周防大島で育った新鮮な野菜や果物が販売されている物産直売所をはじめ、郷土料理が味わえるレストラン、フラダンスイベントが行われる広場などが揃うのが、道の駅サザンセトとうわ。
瀬戸内の食材やハワイアン雑貨など、周防大島らしいお土産も手に入ります。
▶︎道の駅サザンセトとうわ(https://sazan-seto.com/)
最後に、ダイバーに人気のランチスポットを2つご紹介します。
まずは、中華そばの人気店、たちばなや。
すっきりとしたいりこ出汁のスープにもっちりとした食感の麺が絡む一杯をどうぞ。
また、ハワイ仕込みのシェフの料理が味わえるのが、ALOHA ORANGE(アロハオレンジ)。
超レアなステーキをたっぷり盛ったのギャング丼のほか、ロコモコ、ハワイアンパンケーキなど、様々なメニューが並びます。
“瀬戸内のハワイ”を味覚でも感じましょう。
▶︎ALOHA ORANGE(http://alohaorange.com/)
情報・写真提供:Love&Blue(https://www.loveandblue.com/)
周防大島のダイビングポイント
周防大島で最近観察された生物
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