ダイビングを行う上で、自身の器材を使用して潜ることは上達の近道であることに間違いはないと思います。
一方で、全ての器材を揃えようと思うと数十万円かかってしまうということも事実。
特にダイビングを始めたばかりの方であれば、自分がどっぷりとハマるかどうかまだわからないうちに、数十万円の出費というのは勇気がいることでしょう。
現実的には少しずつ買いそろえる方が多いことと思います。
そこで問題になるのが購入する順番です。
比較的安価なマスクか、レンタルとの差が出やすいウエットスーツか、様々な考え方があると思うので、どれが正解ということはありませんが、ダイブコンピューターも最初に購入する器材の候補のひとつ。
安全に潜る上で必要不可欠なダイブコンピューターは、1人1台持つことが原則です。
ガイド付きのダイビングの場合、ガイドのダイブコンピューターで安全管理を行う場合もありますが、潜っている水深はそれぞれ微妙に異なり、その蓄積で安全に潜ることができる時間に大きな差が出る場合もあります。
場合によってはダイブコンピューターを持っていなければ潜らせてもらえない場合もあり、最初に購入しておくに越したことはありません。
しかし、前述の通り最初のうちはできるだけ出費を抑えたいという方も多いですよね。
安いと機能が劣る??安全性に差がある??安物買いの銭失いにはなりたくない……そんな不安を払拭するため、今回は2025年現在国内で販売されているダイブコンピューターのうち、最も安価な価格帯のダイブコンピューターを詳しくご紹介していきたいと思います!
大前提
価格によって安全性に差がある?
無いです。断言できます。
もちろん各社、より安全に潜るための機能に工夫を凝らしているのですが、安全性が価格に転嫁されていることはありません。
メーカーごとに工夫の方向性が異なり、「あのメーカーは安全過ぎて潜れる時間が短い」「あのメーカーは安全性がギリギリだから潜れる時間が長い」とまことしやかに言われることはあります。
メーカーごとや設定によって潜れる時間に差があることは事実ですが、どのメーカーの、どのダイブコンピューターであっても、どんな設定であっても理論上は減圧症にならないための情報を表示してくれます。
唯一気を付けて頂きたいのがダイバーズウォッチ。
こちらはダイブコンピューターと似て非なる物なので、ダイブコンピューターのつもりで購入しない様に気を付けましょう。
中には商品名に「ダイブコンピューター」と入っているのに、その実ダイバーズウオッチという商品も。
その様な商品が1万円台でA●azonで販売されていることを確認しています。(2025年5月現在)
価格によって機能に差がある?
これはあります。
デジタルコンパスがついているか、テクニカルダイビングにも対応できるか、スマートフォンと接続できるか、などなど、高価格のダイブコンピューターであればそれだけ様々な機能が搭載されています。
ダイブコンピューターの相場
2025年現在のダイブコンピューターの価格分布はこちら。(価格は税抜)

相場は11万円と言ってよいのではないかなと思います。
そして低価格のレンジ、つまり格安と定義できるのは税抜75,000円以下と言えそうです。
そこで今回は税抜75,000円以下の7種を細かく見ていきたいと思います。
なお、70,001~75,000円の商品は存在しないため、タイトルではキリよく7万円以下としました。
格安ダイブコンピューター基本情報
SUUNTO
デザインバリエーション:4色
AQUALUNG
デザインバリエーション:2色
デザインバリエーション:1色
デザインバリエーション:2色
Mares
デザインバリエーション:1色
デザインバリエーション:4色
TUSA
デザインバリエーション:3色
格安ダイブコンピューター機能比較
SUNNTO | AQUALUNG | Mares | TUSA | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ZOOP NOVO | i100 | i300C | i330R | PUCK LITE | PUCK 4 | DC Solar | |
定価(税込) | 47,300円 | 52,800円 | 63,800円 | 71,500円 | 55,000円 | 66,000円 | 77,000円 |
デザイン バリエーション (2025) | 4 | 2 | 1 | 2 | 1 | 4 | 3 |
アルゴリズム | SUNNTO RGBM | ビュールマンZHL-16C | ビュールマンZHL-16C GF | ビュールマンZHL-16C改 | |||
プランモード | ● | ● | ● | ● | × | ● | ● |
電源 | 電池式 | 電池式 | 充電式 | 電池式 | ソーラー充電式 | ||
電池収納部独立設計 | × | × | ー | ● | ● | ー | |
バックライト | ● | × | ● | カラーディスプレイ | ● | ● | ● |
コンパス | × | × | × | ● | |||
ストップウォッチ | ● | × | × | ● | ● | ||
Bluetooth | × | × | ● | ● | × | ||
トランスミッター対応 | ● | × | × | × | |||
登録可能な 混合ガス | 1種 | 2種 | 3種 | 1種 | 3種 | 1種 | |
高所潜水対応 | 手動切替 | 自動 | 自動 | 自動 | |||
ログモードエキジット時刻表示 | × | ● | × | ● | |||
浮上速度表示 | バーグラフ | バーグラフ | 数値 | × |
機能詳細(価格順)
低価格帯ということもあって「どの機能が欲しいか」というよりも「どの機能を諦めるか」という比較を行った方が選びやすいように思います。
そこで、価格順に諦めざるを得ない機能を見ていきましょう。
ZOOP NOVO
この価格のダイブコンピューターに搭載されている機能は一通り揃っているどころか、唯一トランスミッターに対応しています。
それでいて最低価格なので、買い、で良いと思いますよ。
唯一気になるのが高所潜水時に予め設定を行わなければならない点。
少し手間がかかるだけですし、そもそも高所潜水なんて行わない……と思うかもしれませんが、地域によっては案外身近なものですし、何より海には無い楽しさがあります。
将来的に高所潜水にハマったら、いちいち設定が面倒になり、最初から自動で対応してくれるものにすれば良かった……となる可能性もあるかもしれません。
i100
では次に安価なこちらはというと、高所潜水には自動で対応してくれる一方で、バックライトが搭載されていません。
透明度が悪い日やナイトダイビングには困ってしまうことでしょう。
ナイトダイビングは高所潜水よりもはるかに身近なもので、ダイビングを続けていくうちに誰もが一度は行うもの、そしてハマる人も多いダイビングスタイルなので、筆者個人的にはこのダイブコンピューターはナシです。
PUCK LITE
次に安価なのがこちら。
高所潜水に自動で対応しており、バックライトも搭載されています。
しかし、大きな欠点としてプランモードが存在しないことが挙げられます。
安全にダイビングを行うためにはダイブコンピューターでリアルタイムに安全を確保することも大事ですが、事前に計画をする=プランモードを見る、ということも大事です。
正直な話、ダイブコンピューターに従って潜ることで安全なダイビングを実現できることもあり、プランモードを活用しているダイバーは多く無いと思うのですが、搭載されていないとなると、筆者個人的にはインストラクターとして勧めづらいなと感じてしまいます。
i300C
次に安価なこちらから6万円台に突入します。
高所潜水に自動で対応、バックライト搭載、プランモードもある、Blootoothにも対応していて……アリですね。
あらゆるダイビングに対応できる最も安価なダイブコンピューターと言っても良いかもしれません。
PUCK 4
i300Cと2,200円差のこちら、最大の特徴は水没リスクが低いことです。
ここまで見てきたダイブコンピューターは全て電池式で、電池が切れた場合には電池交換が必要です。(100本程度)
各社なるべくメーカーに依頼してくださいね、とはしながらも、自身での電池交換可能とされています。
自身で電池交換を行う際、電池収納部のフタにゴミやホコリ、髪の毛などが挟まってしまうと、当然ダイブコンピューターは故障し使えなくなってしまいます。
ここが格安ダイブコンピューター≒電池式、最大の「安物買いの……」ポイントなのですが、PUCK LITEを含めMaresの電池式ダイブコンピューターは電池収納部が独立設計のため、万が一電池収納部が水没してしまっても、本体までは水没しない構造になっています。
つまり、水没に気が付いた時点で即座に乾燥させるれば、再び使用可能です。
また、多少電池が錆びついてしまっていても、早めに修理に出せば新品を購入する羽目にはならないのです。
(水没を放置してしまうと修理不能になる場合もあります)
i300Cと比較して2,200円の差なら、価値がある様にも感じます。
また、初心者の方が購入するということを想定すると、浮上速度が具体的な数値で表示される点も、安全な浮上速度を身に着ける上でおすすめできるポイントです。
一方で、ログモードでエキジット時刻が表示されないことが欠点ですが、エントリー時刻+潜水時間で計算できるわけで……、i300Cと比較してどちらを取るかはおまかせします。
i330R
ここから税込では7万円を突破し、電池式ではなくなります。
この価格帯ではZOOP NOVOにしか搭載されていないトランスミッターへの対応以外は、大きな欠点は見当たりません。
そもそもトランスミッターは別売りなので、価格重視のはずが本末転倒になってしまいますし……。
価格を許容できる方にはおすすめです。
DC Solar
ソーラー充電式なので電池切れや充電忘れの心配がありません。
もちろんこの価格帯最高額なだけあって、機能面はデジタルコンパスやストップウォッチなどどれよりも充実しています。
i330Rと比較して充電式かソーラー充電式か好みが分かれるところですが、まずはそんなに頻繁に潜るかどうかも分からないということを想定すると、長期間カバンの中に放置してしまって電池切れになってしまう可能性があるこちらより、充電式のi330Rの方が良いかもしれません。
一方で普段から電気の光が届く場所に置いておけばOKなので、ソーラー充電式でも気にならない人にとっては、ソーラー充電式ダイブコンピューターの中で比較してもおすすめのダイブコンピューターですよ!
結論
とにかく安く!高所ダイビングはしません!
最安値にもかかわらず通常のダイビングで必要な機能は全てそろっているばかりか、格安ダイブコンピューターの中で唯一トランスミッターにも対応しています。
前述の通り、高所潜水への対応だけひと手間かかるので、高所潜水を行う可能性がある場合は少し注意が必要ですが、ひと手間かかるというだけで対応していないわけではないので、大きな問題になることも無いでしょう。
あらゆるダイビングに気軽に対応したい!
ZOOP NOVOの唯一の欠点である高所潜水への自動対応を実現している物としておすすめなのがPUCK 4とi300C。
電池交換の際の水没リスクが少ないという点で、i300Cに比べてわずかに価格は上回るものの、オールマイティーなダイブコンピューターとしてのおすすめは、PUCK 4を挙げたいと思います。
電池交換の不安は嫌だ!
電池交換の手間や水没リスクを完全に払拭するためには、この価格帯の中で最も高いダイブコンピューターであるi330RとDC Solarの2択となりますが、そもそも初心者≒頻繁に潜るかどうかまだわからない、という点を考慮して、ソーラー充電が不足する不安があるDC Solarではなく、充電式のi330Rをおすすめしたいと思います。
おわりに
はじめに取り上げた様に、ダイブコンピューターは原則1人1台、持っていないと潜らせてもらえない場合もある、価格によって安全性に違いはない、ということで、初めてのダイビング器材として安価なダイブコンピューターを選択することは間違いではないと思います。
一方で、ダイブコンピューターは持っていれば良いという物ではなく、減圧症の仕組みを理解した上で、正しく、控えめに使用することが重要です。
ましてや、以下の記事でお伝えした通り「DECO」の意味が分からない状態でダイブコンピューターを使用していても、あまり意味がありません……。
ダイブコンピューターを使用する場合は、画面に表示される数字の意味をしっかりと理解したうえで使用するようにしましょう。
しっかりと理解さえしていれば、今回ご紹介したどのダイブコンピューターでも安全に潜るためには十分で、長く使用できる重要な相棒になることと思いますよ!
プレゼント
どんな器材も特徴や使い方の説明をじっくりと受けてから購入するのがベストですが、住まいの近くにダイビングショップや器材量販店がないために、そうもいかないという方も多いことでしょう。
Scuba Monstersの器材探しではそんな方のためにもダイビング器材の検索、比較だけでなく購入も可能です。
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