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土肥へ急げ!冬季限定「沖魚礁」が楽園だった

海のレポート

みなさん、こんにちは。
Under Water Creatorの茂野です。
2023年1本目の記事は伊豆半島・西伊豆町の土肥の海を紹介していきたいと思います。

なぜ土肥から始めるかというと、その光景に度肝を抜かれたから。
僕が思う伊豆半島の魅力といえば、ソフトコーラルの多いカラフルな景色!
土肥では、そんな伊豆半島の中でもトップクラスのソフトコーラルの群生が見られました。

にも関わらず、その魅力はまだまだ知られていない。
こういった伊豆半島の知られざる魅力をもっともっと深掘っていきたいと改めて思ったからです。

というのも、伊豆半島に移り住んで3年目……。
若手の僕もここ最近は写真家としての仕事を多くもらえるようになり、各地の海で撮影やセミナーをさせて頂きました。
ここ数年、たくさんの海を潜りたくさんの視点を頂いたことで、自分の視野も広がりました。
とにかく広げる2年間でした。

それもあって、2023年は深める1年間にしたいなと思っています。
今まで発見した新たな視点や考え方を活かして、改めて伊豆の面白さや良さを再発見する。
そんな記事を作っていけたらと思っています。
ということで早速、内容に入っていきましょう!

期間限定「沖魚礁」のソフトコーラルがすごい!

土肥の沖魚礁は冬の時期だけの期間限定ポイント。
夏場や魚の多い時期は漁場として利用されるため、ダイビングをすることができません。

毎年時期は前後しますが、潜れるのは12〜2月ごろまで。
2023年は2月末まで潜ることができます。

潜れる期間の短い沖魚礁は、伊豆半島らしいソフトコーラルの大群生が、手付かずのまま広がっているんです。
まさに伊豆半島の豊かさを象徴するようなポイントだと思います。

土肥ダイビングサービス金原さん
土肥ダイビングサービス金原さん

沖魚礁は水深24m前後のフラットな砂地の上に魚礁となるブロックが沈んでいるポイントなのですが、魚礁には潜降ロープが繋がっており、ブイに船を係留してのダイビングになります。
流れもそこまで強くないので、初心者から中級者でも楽しめるポイントだと思います。

ただし、これだけのソフトコーラルと手付かずの光景。
中性浮力のミスでソフトコーラルを踏んだり、折ったりしないように注意したいですね。

早速、潜っていくと……。
大きなブロックの集まりが見えてくるのですが、もう既にこの時点で巨大な木のようなソフトコーラルがモリモリ生えているのがわかります。

冬場は伊豆半島全般透明度が高くなるのでダイビング自体を楽しみやすいのはもちろんのこと、特にワイドの撮影をするにももってこいのシーズンです。
この日も15mほどは見えていたと思います。

潜降してすぐのところにストロボを当ててシャッターを切ると、1枚目から圧倒的なカラフル感!!
土肥ダイビングサービスの金原さんは「他のポイントに比べてソフトーラルはすごい気はするけど、茂野さんに刺さるかな〜」と言ってくれていましたが……。
もうシャッターを1枚切った瞬間、いや潜降してる段階から、テンションめちゃめちゃ上がってました。

そして、そのソフトコーラルの圧倒的な量に、どこを撮影していいかわからなくなるほど。
もうどこをどう切り取っても素晴らしいんですもの!

この写真はブロックの高いところで青を入れて撮りましたが、一面ソフトコーラルにするのも良いですし、とにかくさまざまな色を写真に取り込むことができるんです。
こんなポイントが伊豆にあったなんて、本当に驚きでした!!
それくらいのソフトコーラルの密集度。

他にも驚いたのがソフトコーラルの種類の多さ。
キサンゴやナシジイソギンチャクが群生しているところがあると思ったら、伊豆半島では珍しい緑色のナンヨウキサンゴが数多く、そして大きなものまであったんです。

もちろんトサカ類やウチワ類も多く、一体何種類のソフトコーラルが生えているのか数えてみたい。

この茶色いタイプのソフトコーラルも伊豆半島では初めて見ました。(名前ってどうやったら調べられるんだろう)
このソフトコーラルは愛媛県の愛南ではよく見ていて、独特の光景だなあと思っていたのですが、まさか伊豆半島に群生している場所があるなんて思いませんでした。

またこの沖魚礁の魅力はソフトコーラルだけじゃなくて、魚影も魅力の1つ。
夏場は漁場として使うため、ダイビングポイントとしては使用できないぐらいなので。
そりゃあもう、魚の量は多いに決まってますよね!

ダイバーがエントリーすると中層を泳いでいたイサキが驚いて、魚礁に向かって逃げるのですが、この時が大チャンスです!

魚礁側で待っていると、ソフトコーラルとイサキの大群を撮影することができます。
周りが砂地で他に逃げ場がないためイサキは魚礁に隠れようとするのか、ダイバーがいてもお構いなしに突っ込んできます。

上手く撮影するコツは群れを追いかけないこと。
本当にたくさんのイサキが縦横無尽に駆け抜けるため、こんな感じでお気に入りのポジションを見つけたら、そこで待っているのがいいでしょう。

三重県のダイビングスポット・尾鷲で盛り上がっている、額縁写真を思わせませんか!?

ソフトコーラルを傷つけないように注意しながらモデルをしたり、してもらったり。
こんな風にダイバーを入れて撮っても面白い!

モデルになってくれるのは人だけではありません!
ハナミノカサゴもすごく多いので、ハナミノカサゴも一緒に撮ることができます。
もう少し水温が下がると、イサキの群れがネンブツダイの群れに入れ替わるらしく、そうするとネンブツダイの群れを狙うハナミノカサゴなんかもすごくいい絵になりそうですね。

またソフトコーラルが多いということは、魚たちの格好の隠れ家に。
この写真、よく見ると中央のウミカラマツの上にクダゴンベがいるのがわかりますか?

僕も最初は全然気づかなかったのですが、カメラの画角の中で赤いのがチョロチョロ動くので気になって見たら、ちょこんと鎮座していました。
めちゃくちゃ贅沢な光景!

他にもハナダイの幼魚をソフトコーラルバックで撮影したり、

ガラスハゼがいたり、

冬場になると多くなるウミウシ(今回はサガミリュウグウウミウシ)たち撮影したり、

冬になると生えてくるベニクダウミヒドラという固着生物を撮影したり。
フォト派ダイバーの間で人気のいわゆる生えものまで含めると、とにかくたくさんの生物を観察することができるし、マクロ派ダイバーも満足すること間違いなしです!

夏は圧巻の外洋ポイント・小下田エリアへ

さて、ここまで冬季限定の沖魚礁の魅力を熱弁してきましたが、土肥の海のエースは、やっぱり小下田エリア!!
今回は、沖漁礁に絞って書こうと思っていたのですが、やっぱり少し触れさせてください!
外洋にある小下田エリアの根には、ものすごいソフトコーラルの群生とキンギョハナダイやスズメダイ、イサキ、タカベ、時には回遊魚まで現れる超ビックポイントです。

こんな一面ソフトコーラルのエリアが多く続きます。

そして伊豆特有のハナダイの群れもものすごい量!!
潮の流れに合わせて移動するのでタイミングによって量は変わりますが、このくらいの量は高確率で狙えるでしょう。
この小下田エリアは僕もまだ通い詰めたわけではないので、また夏の時期に発信していけたらと思っています。

ビーチのマクロは泥地のハゼがたくさん

また土肥にはビーチポイントもあるのですが、ここは泥地の生物が見られるのが特徴のポイントです。
ニシキフウライウオなどの季節来遊魚はもちろん、他の伊豆半島と同様にいるのですが、やっぱり土肥の魅力はこの泥地エリアでしょう。
写真のヒレナガハゼも他エリアではあまり見れないハゼですし、

土肥のビーチでは通年アカタチの仲間を狙うことができます。
そしてアカタチは他エリアよりも圧倒的に大きく、よく外に出ています。

僕も大瀬崎や静浦でアカタチは見ているのですが、アカタチを見上げるとは……初めての経験でした。
それくらい高くまで飛び出している時があります。

もちろんカエルアンコウなどの人気の生き物や季節来遊魚なども流れてきていて、普通に楽しめますよ。
このビーチポイントもこれから、もっと潜り込んでいきたいポイントだなと思いました。

おわりに

僕も土肥の海は、なんとなく面白いという話は聞いていましたが、正直ここまですごいとは、思っていませんでした。
沖魚礁の圧倒的なソフトコーラルには衝撃を受けました。
伊豆半島を拠点とする写真家として土肥の魅力を知りきれていなかったことを恥ずかしく思う部分もありました。

きっと、小下田エリアもビーチもまだまだ掘れば面白いはず!
これからもどんどん伊豆半島の魅力を発信していきますので、どうぞお楽しみに!

撮影協力:土肥ダイビングサービス

茂野優太

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Under Water Creator。 1991年、神奈川県生まれ。 海・ダイビングの魅力を写真、映像、文章、ガイドなど、多様なアプローチで発信する。 伊...

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