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水中遺跡を調査しよう!市民参加型水中遺跡調査プロジェクトメンバーを公募開始!

イベント情報

水中の世界はまだまだわからないことばかり。
その”わからなさ”がダイビングの大きな楽しみのひとつでもあります。

そんな”わからなさ”のひとつとして水中遺跡の存在をご存じでしょうか?

遺跡と言うとなんだか遠い存在の様な気がしてしまいますが、例えば以下の様なものも水中遺跡です。

日本では現在387の遺跡が水中遺跡として発見されていますが、水中考古学がご専門の佐々木ランディ准教授によれば、約30,000kmの海岸線をもつ日本であれば、3万遺跡ほど見つかっても良いはずとのことです。

Scuba Monstersではそんな水中遺跡について、これまでもランディ先生にお話を伺ってきました。

市民参加型の水中遺跡調査メンバー公募開始!

さて、まだまだ未知の遺跡や謎が解き明かされていない遺跡が多く残ると考えられるなか、市民参加型で水中遺跡の調査を行うプロジェクトが立ち上がり、調査メンバーが公募されることとなりました。

  • 兵庫県
  • 大阪府
  • 和歌山県
  • 広島県
  • 山口県
  • 岡山県
  • 香川県
  • 愛媛県
  • 福岡県
  • 大分県
  • 神戸市

上記、瀬戸内海沿岸11の府県及び神戸市より各5名ずつ計60名の募集となっており、居住する地域の”海と遺跡”に興味がある方を調査メンバーとして募集中です。

調査メンバー募集

参加要項
●居住する地域に関連する水中遺跡をチームで調査する意欲のある方。
●任期はメンバー選出の連絡を受けた時から、2025年9月まで。
●年齢・性別は問いません。
●報酬はありません。
●調査の際にかかる交通費や飲食代などは自己負担となります。
●帆船「みらいへ」を使ったプログラムによって、チーム間の交流を深める機会を作ります。乗船費用(保険代含む)は事務局が負担予定です。(出発地までの交通費は自己負担となります。)
●月1回のオンライン会議および、季節ごと(約3ヵ月)に行う地域での対面中間発表会に参加していただきます。(本プロジェクトメンバーが地域に伺います。)
●2025年8月(予定)にプロジェクト全体のシンポジウムを開催し、各地域から選出された市民による発表の場を設けます。
●プロジェクトの内容や参加されている様子は、インターネットやメディアを通じて公開されます。
●潜水技術は必要ありません。

本プロジェクトの魅力
●地域より選出された多様な背景をもつ市民が、「各自治体のメンバーで構成される5名のチームで選んだ」水中遺跡を文献調査、現地調査を経て、公の場で発表していただきます。その過程では、本プロジェクトを構成する専門家が支援します。
●どの水中遺跡を選ぶかということから始め、その遺跡のもつ魅力をどのように引き出すかについて、専門家からアドバイスを受けることができます。
●本プロジェクトに選出された市民の方々には、帆船「みらいへ」に乗船して、遣唐使が辿った航路を体験していただきます。また、その寄港地では、当時の乗員が食したと思われる食事を提供します。
●帆船に乗船中には水中遺跡、歴史家、ダイバーなど、海に関わる専門家の講話を受講することができます。
●他の地方から選出された市民の方々と親交を深め、他のエリアにはどのような遺跡があるのかを共有する機会をもつことができます。

応募期間
2024年4月30日まで

応募フォーム
https://docs.google.com/forms/d/1SRdNnw_fSOiiCaaCVcrM02Vc2-SxQAk8KabbmrOXerM/viewform?hl=JA&pli=1&hl=JA&pli=1&edit_requested=true

お問合せ先
海洋文化遺産プロジェクト共同事務局
info@ckuh-kobe.com

プロジェクトメンバーより

今回のプロジェクトには、ランディ先生をはじめ、多くの専門家の方が名を連ねています。

プロジェクトメンバー(敬称略)

中田 達也(神戸大学大学院 海事科学研究科附属 国際海事研究センター 准教授)
石原 渉(NPO法人 アジア水中考古学研究所 副理事長)
來生 新(神奈川大学 海とみなと研究所 上席研究員)
木村 淳(東海大学 人文学部 人文学科 准教授)
佐々木 蘭貞(帝京大学 文化財研究所 准教授)
戸村 裕行(水中写真家)
中原 裕幸(神奈川大学 海とみなと研究所 上席研究員)
信時 正人(株式会社エックス都市研究所 理事)
西川 千尋(ユネスコ本部 職員)
吉崎 伸(特定非営利活動法人 水中考古学研究所)
吉原 司(姫路獨協大学 人間社会学群 現代法律学類 教授)

プロジェクトメンバーの中から、プロジェクトリーダーの中田先生を筆頭に、ランディ先生、そして水中写真家の戸村さんからコメントを頂きましたので、ご紹介します!

中田 達也先生より

中田 達也

・神戸大学大学院 海事科学研究科附属 国際海事研究センター 准教授
・海上保安大学校 海上保安国際研究センター 客員研究員
・アジア水中考古学研究所 会員

1969年生まれ。
日本大学国際関係学部、文教大学国際学部などの非常勤講師を経て、2010年2月から2020年1月まで東京海洋大学大学院准教授(国際法・海洋法)。
その後、東京海洋大学プロジェクト教員を2021年3月まで継続しつつ、2020年5月から2021年3月まで笹川平和財団海洋政策研究所特任研究員。
慶應義塾大学大学院法学研究科、法政大学人間環境学部、東洋大学国際学部、中央大学国際経営学部などでも非常勤講師を務めた。
2021年4月1日より現職。博士(海洋科学)

このプロジェクトでは、海洋に携わる研究者や市民を含む海に関わる多様な人々が協働して市民参加型研究を実現するとともに、それら研究における総合知創出までの過程をまとめ、エリアや研究対象に依存しない共通性を備えた知見として昇華、海洋文化遺産を媒体とした海洋の総合知を創出するための手法を構築します。
総合知とは、属する組織の「矩(のり)」を超え、専門領域の枠にとらわれない多様な「知」 が集うことを指します。
このプロジェクトを知り、参加し、興味の持った遺跡や過去の遺物を自らの足で調べ、文献などを紐解き、専門家も含むチームの「総合知」としてまとめ、周知することが未来世界へ繋ぐ一つの連結点となります。
多くの方のご応募お待ちしております。

佐々木 蘭貞(ランディ)先生より

佐々木 蘭貞

・帝京大学 文化財研究所 准教授
・一般社団法人うみの考古学ラボ 理事長

1976年神奈川県生まれ。
高校卒業後に渡米し海外発掘調査に従事する中で水中文化遺産に出会う。
テキサスA&M大学大学院に進み、アジアを中心に伝統船舶・沈没船の研究を実施。
日本の中から一般市民に対して水中文化遺産保護の必要性を呼びかけることが重要であると考え2012年に帰国。
九州国立博物館や福岡市埋蔵文化財センターに勤務しながら一般向けの図書の執筆や講演、また、文化庁『水中遺跡ハンドブック』の作成に関わる。
現在は帝京大学文化財研究所准教授として大学での授業のほか、バハレーンの水中遺跡探査、本栖湖、日本海のみなとの調査などを実施。
中央アジア諸国の水中文化遺産保護の取り組みなど活動を広げている。

海洋文化遺産って何?

海洋文化遺産とは、「海と人のつながり」を示すもの。
例えば、船。港・湊の痕跡もそうです。
これらの痕跡の多くは水の中にあるため、水中遺跡と呼ばれます。
でも、昔は海でも今は陸になっている場所もありますよね。
港は陸と水域の接点なので、水中遺跡なのか陸の遺跡なのか…どちらでもない…? 

人類は陸に住んで海を利用しています。
そのため、水中遺跡だけ・陸の遺跡だけを見ても「海と人のつながり」は見えてきません。
漁労の道具や海を祀った神社なども広い意味では海洋文化遺産と捉えることができます。
近年、海洋問題(海ゴミ、漁獲量の減少、海面上昇など)や海に関するSDGsがニュー
スの話題となっています。
21世紀は海洋の世紀とも呼ばれ、ますます海と人の関係を考えることが重要になってきています。
過去の海と人の関係を知ることは、現状をしっかりと把握するために必要であり、また、
未来を見据えるためにも必要です。
そのために海洋文化遺産・水中遺跡を探すことには大きな意義があると信じています。
未来を見るためには、研究者の意見だけではなく、広く市民一丸となって考えていくこと
が大事だと思っています。
海はみんなのモノだから、みんなで考えて守る。
その最初の一歩がこのプロジェクトだと思っています。
みんなで協力して「海と人のつながり」を調べて、未来の海のカタチ、人類と海の共存の在り方について考えてみませんか? 
実は、海洋文化遺産って身近なところにあるんですよ。

戸村 裕行カメラマンより

戸村 裕行

・水中写真家
・OCEAN PLANET 代表

1982年、埼玉県生まれ。
大型海洋生物からマクロ生物まで様々な水中景観を撮影し続けている写真家。
近年におけるライフワークとして、第二次世界大戦に起因する海底に眠る艦船や航空機などの撮影を世界各地で続け、ミリタリー総合誌・月刊『丸』にて連載。
2018年に写真展『群青の追憶』を靖國神社遊就館で開催したのを皮切りに、呉市海事歴史科学館など全国各地の博物館や記念館などを巡回、2020年に海底の戦争遺産の写真集『蒼海の碑銘』、2022年にはその続編を上梓。
戦争遺産を保護し、未来に伝えていく為の活動などが注目を集めている。

スクーバモンスターズをご覧の皆様こんにちは、水中写真家の戸村です。
スクーバモンスターズをご覧の方の多くは「ダイバー」という印象が多いイメージですが、皆さんからすると、「水中遺跡」と聞いて身近に感じるものでしょうか?
私の想像からすると、少し遠い存在のような気がしています。
日本において「フィッシュウォッチイング」や「水中撮影」がレジャーダイビングの中心であり、なかなか水中遺跡に接する機会は少ないですよね。
実は、今回のプロジェクトは必ずしも「ダイバー」である必要はありません。
陸上からの調査が主になるかと思いますが、普段より海に親しんでいるダイバーの皆さんの知識や経験も必ず役に立つと思っております。
私は近代の戦争遺産の撮影に取り組んでいますが、歴史が好きで海も好き!そんな人も実は多いはず!
今回は瀬戸内近郊と募集が限定的ではありますが、多くの方に興味を持ってもらうきっかけにもなればと思っております。
また、瀬戸内でのプロジェクトの後には全国展開も検討されており、もし今回のプロジェクトに居住地域的な問題で参加できなくてもその際にぜひご一緒できたら嬉しく思います。
一緒に海のタイムカプセルを見つける旅に出ませんか?

応募締め切りは2024年4月30日(火)

ダイバーの方も、そうでない方も、瀬戸内海沿岸地域にお住いの方でご興味がある方は、是非応募してみてくださいね!
ダイバーでないという方は、これを機にダイビングに挑戦してみるというのも良いのではないでしょうか!?

瀬戸内海沿岸地域以外にお住いの方も、今後このプロジェクトは全国展開も検討されているということなので、本プロジェクトの進行を見守りつつ、お住いの地域で同様の募集があった際には、是非応募してみて頂ければと思います。

本プロジェクトの進行についてはScuba Monstersでも随時お伝えしていければと思っていますので、乞うご期待!

最後に、もう一度募集のお知らせを掲載しておきます。

さらに詳しくは神戸大学海洋文化遺産プロジェクト総合知手法創出チームによる

海洋文化遺産プロジェクト

のWEBサイトをご覧ください!

応募フォーム
https://docs.google.com/forms/d/1SRdNnw_fSOiiCaaCVcrM02Vc2-SxQAk8KabbmrOXerM/viewform?hl=JA&pli=1&hl=JA&pli=1&edit_requested=true

お問合せ先
海洋文化遺産プロジェクト共同事務局
info@ckuh-kobe.com

水中遺跡LINEへのご連絡もお気軽に!

Scuba Monstersでは兼ねてよりランディ先生のご協力の元、「これってもしかして遺跡かも?」という物をLINEで気軽に質問できる、”水中遺跡LINE”を運営しています。

ダイビング中や波打ち際などで「もしかして…」という物を発見した際には、是非お気軽にご連絡ください!

ScubaMonsters編集部

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