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【カニが食べたい!】でも、タラバガニはカニじゃなかった・・・

タラバガニ
生物について

カニの王様と言われるタラバガニ・・・

大きな甲羅と太い脚にぎっしり詰まった身を豪快にバクッと食べる姿を想像するだけでよだれが出てきそうです。

これからの寒い時期にはカニ鍋なんかも良いですね~~

しかしですね・・・

皆さんにも馴染みのあるタラバガニ、実はカニじゃないんですよ!!

タラバガニはカニじゃない!?

「どう見たってカニじゃん!?」

おっしゃる通り!

どこから、どう見たってカニに見えますよね?

でも実はタラバガニはカニではなくヤドカリの仲間なんです。

信じられない人のために、ズワイガニと比較してみましょう!

やっぱりカニですよね。

ここで注目してほしいのが足の本数です。

カニかどうかは足の本数で決まる!?

僕らがイメージするカニといえば・・・

脚やはさみが付いていて、想像する脚の本数は全部で10本ですよね。

そうなんです。

カニは大きなはさみが1組、脚が4組で合計10本生えているので、甲殻類の中でも十脚目という分類をされます。

この十脚目の中には、エビやヤドカリなども含まれます。

さて、ズワイガニの足の本数はどうでしょうか?

左右に5本づつ、合計10本ありますよね。

もう一度、タラバガニを見てみましょう。

1.2.3.4・・・

合計8本しかないですよね?

これが”タラバガニがカニではなく、ヤドカリの仲間に分類される理由”です。

ここでちゃんと読んでくれている人は疑問に思うハズです。

あれ?さっき十脚目の中にエビやヤドカリも含まれると言ってなかったっけ?

そうなんです。

タラバガニも見える脚は4組ですが、甲羅の中に見えない5組目の脚が隠れているんですね。

この5本目の脚は非常に小さいのですが、カニのエラなどを掃除するのに役立っています。

実は、この5組目の脚の役割がヤドカリに似ています!

ヤドカリも前の脚3組は外に出して歩くのに利用していますが、後ろの2組というのは貝殻を支えたり、貝殻の中のごみを吐き出すために使っているんです。

そこで2008年まではタラバガニはヤドカリ上科という分類をされていたのですが・・・

2009年にタラバガニ科という新たな分類が作られました。

しかし大本の分類はやはりヤドカリ目でヤドカリの仲間であることに変わりありません。

まあ、カニだろうとヤドカリだろうと美味しければ、どっちでも良いんですけどね(笑)

ちなみに名前の由来は「タラバガニの脚がもう1組、あったらば」なんてギャグで付けられていたら、面白かったのですが、タラ漁の盛んな地域で捕れたことからタラ場のカニでタラバガニになったそうです。

ズワイガニの豆知識!!
越前ガニや松葉ガニや加納ガニといったカニの種類も効いたことあると思いますが・・・
実はこれ、すべて同じズワイガニのオスなんです。
それが水揚げされた場所によって名前が代わりブランドが付いているんです。

さて、ここからはダイバーの方向けに少しマニアックな内容で甲殻類の分類について勉強していきたいと思います!!

甲殻類の十脚目を分類しよう

先程、説明したように・・・

僕らが食べたりダイビングで観察したりするエビやカニは、体が硬い殻に覆われていて足が10本ある十脚類というのに分類されます。

さて、じゃあエビやカニやヤドカリなどは、どうやって見分けているのでしょうか?

この十脚類には何があるかというと尻尾の形によって3種に分類されます!!

尻尾の長い長尾類→エビ

まずは1番わかりやすいのがエビです。

尻尾が伸びていて長いので長尾類と分類されます。

体が縦に長くなる傾向があるのは、分かりますね。

②尻尾の短い短尾類→カニ

続いて、尻尾が短いものはカニと分類します。

えっ!?

カニって尻尾あるの?という方もいるかと思いますが、きちんとあるんですよ。

カニはお腹の部分に短い尻尾を巻き付けています。

写真のようにタマゴを育てるときは、ちゃんと尻尾を使います。

→つまり、「カニは尻尾の短いエビ」といっても過言ではないでしょう!

ここからが本題です!

③尻尾が左右に曲がっている異尾類

そして何やら新しい呪文のような単語が出てきましたね。

異なる尾っぽとかいて異尾類(いびるい)と言います。

読めましたか?(笑)

尻尾が曲がっているというのは、ヤドカリを想像してもらえばわかりやすいですね。

貝殻の中に柔らかい腹部や尻尾を入れて生活していますもんね。

尻尾がまっすぐじゃ入れるわけないです(笑)

ちなみに上で話題になったタラバガニは貝殻を背負っていないけど、この異尾類のホンヤドカリ上科の中のタラバガニ科に属します。

厳密にはタラバガニの尻尾は曲がっているそうですが、素人目にはわかりません。

カニと異尾類を見極める1番簡単な方法は、

脚の本数が10本ならカニ8本なら異尾類と判別するのが良いでしょう。

※目に見える脚の本数が8本。実際には異尾類も10本あります。

ダイビングでよく見る異尾類には、カニダマシやコシオリエビといったものがいます。

初めて聞く方もいらっしゃるかもしれませんね。

他にもオルトマンワラエビなんかも、異尾類に分類されます。ちょっと足の本数を見てみましょう。

【カニダマシ】

カニダマシは岩礁や転石下だったり、はたまたウミエラやイソギンチャクといった刺胞動物と共生しているものもいます。

1本目の足が完全なハサミ状になっていてかなりカニに似ている形をしていますが・・・

やはり脚の本数は8本ですね。

【コシオリエビ】

コシオリエビは浅場から深海まで幅広く生息します。

石の下や海藻の中に隠れるものがいたり、ウミシダを宿主とし隠れ住む種もいます。

第1脚の先の方が完全にハサミ状になっており、どちらかというとエビに近い形をしています。

しかし、脚の本数を見ると、やはり8本ですね。


もう、これで大丈夫ですね。

僕らインストラクターも、伝わりやすいようにエビとか紹介していますが・・・

みんなから

『異尾類見たいです』

なんて言われたら、めちゃくちゃテンション上がります。

さて、では最後に確認問題!!

Q. どっちがカニでしょう!?

正解は・・・

右でした!!

ちょっとひっかけ問題になってますが・・・

右のカニは奥側の足が1本とれてしまっています。

水中ではよくケンカや捕食者に襲われ足を失ったカニがよくいます。

それに惑わされないように両側の足を見て判断すると確実でしょう!

ついついエビカニのことになると熱くなってしまいますが・・・

甲殻類にはロマンがありますね~~~

(笑)

茂野優太

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Under Water Creator。 1991年、神奈川県生まれ。 海・ダイビングの魅力を写真、映像、文章、ガイドなど、多様なアプローチで発信する。 伊...

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