こんにちは!奄美大島在住、生態観察大好きな♂、ちょっくんです。
今回紹介する生態シーンは「コブシメの生態行動」です。
コブシメって?
突然「コブシメの生態行動」なんて言ってしましましたが、まずはコブシメがどんな生き物なのか、ご紹介します。
まるで宇宙船!
コブシメとは、九州南部よりも南の海、つまりは南の島に生息するイカの仲間。

まるで宇宙船を思わせる独特のフォルム。
人間が滅びたとしたら、次に地球の頂点に立つのはコブシメと言われています(嘘)
寿命が1年!
面白い形をしていることからも人気のあるコブシメ。
そんなコブシメは、寿命が基本的には1年。
生まれてきたときはこんなプリティな姿をしてるのですが……

生まれて1年で成体になり、繁殖を経て、その寿命を終えるのです。
ドラマチックな繁殖行動
繁殖行動を観察できるチャンスは3~5月の間。
観察するにあたってまずオスとメスを紹介しましょう。

右がオス、左がメス。
オスはヒレに縞模様が入り、メスはヒレが透明だったり、薄い水玉柄だったり。
あまりヒレが目立たないのがメス、ヒレが目立っていたらオスという事で見分ける事ができます。
繁殖行動観察の時は、まずメスが産卵する場所を見つけましょう。
基本的にサンゴや岩の隙間に産み付けます。
奄美大島では産み付けやすいエダサンゴを産卵床にします。

産卵床に近づいてきたメスを驚かさないようにそーっと観察していると、卵を持った腕をにゅるっとサンゴの中に入れて、産卵に至ります

産卵が終わったら、

プハッと息継ぎをして、

一度サンゴから離れて卵を再び準備。
腕を丸めてるのが卵を取り出すポーズ。
これを繰り返して、メスは産卵を頑張ってるんです。
この間、オスは優しく見守っています。

そう、優しく見守ってる・・・と言いたいところなんですが、コブシメのオス社会はそんなに甘くないの!そこが面白い観察ポイントなんですが。
コブシメの恋愛事情はかなり自由な形となっており、メスは卵がなくなった時に、タイミングよく求愛してきたオスなら誰とでも交接します。
ええええええですよ。自分の彼女だったらと思うと眩暈がします。
とぼけた顔してとんでもない女だ!
でもコブシメ社会ではそれは常識。いったん人間的な感情は置いておいて、受け入れてください。
つまり、オスとしては、メスが卵がなくなった時に求愛することが求められるわけで、ずっとそばで見ておかないと交接出来るタイミングがわからない。
だから産卵するメスを見守っているのです。
人間的な感覚だと、優しい旦那さんなのね~~なんですが、その実、ただその時に1番権利が強いから近くにいるだけの男なのです。
それをわかってるから、ほかのオスは、常に、一番有利な場所を奪いに来ます。
なので産卵期はオス同士の喧嘩がしょっちゅう起こります。

このオス同士の時にしか観察できないのがオスの威嚇の体色。ゼブラカラーがコブシメの警戒色。


全力で色を出してオス同士押し合いで争います。
時には、強いオス同士争ってる間に、素早くメスに近づき、交接を成功させる戦略家のオスも!
強いだけがオスの条件じゃないと教えてくれるってわけ。
交接の観察はR指定!?
オス同士の争いに勝ち、無事メスが卵がなくなった時に求愛できるチャンスを得たオスは、まず優しく体色を変えます。
これは婚姻色という求愛の色。

婚姻色に身を包んで、メスをそっと撫でて求愛の意をしめします。

メスが応えてくれたら・・・

交接スタート!
これが艶めかしいのなんのって・・・ぜひ見てもらいたいシーンです。

交接は短くても30秒以上、僕が観察してきた中で一番長かった交接は5分にも及びました。

このように、コブシメの繁殖行動は、春の南の島の一大シーンとも言える見ごたえたっぷりなシーン。
南の島に春の時期行く方は、コブシメの繁殖行動を狙ってみてくださいね。
ではまた!
ばいばい~
ちょっくん