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房総半島の新たな刺客!新スポット相浜の魚影が凄すぎる

相浜・茂野ダイビングレポート
海のレポート

2021年8月。
ダイビングシーズン真っ只中、千葉県館山の海で新ダイビングスポットとしてオープンしたのが相浜(あいはま)だ!
その海を開拓し、ダイバーたちを受け入れているのが、相浜ダイビングサービス。

相浜の海は、圧巻の魚影とワイルドさがウリだという。
しかも、ダイナミックなドリフトダイビングができ、伊豆半島の神子元クラスの魚影の濃さを誇るとも聞く。

そんな噂を聞きつけて、イチダイバーとして潜ってみたくならないわけがない。

ということで新ダイビングスポット・相浜行ってきました!

左:茂野 右:相浜ダイビングサービス神村さん
左:茂野 右:相浜ダイビングサービス神村さん

こんにちは!
Under Water Creatorの茂野です。

正直、伊豆を拠点として僕からすると、

「相浜って千葉の海でしょ」
「絶対に伊豆の方が面白いし、神子元クラスの魚影は大袈裟でしょ」

という思いがありました。(変な伊豆ダイバーの意地)

しかし、たった1本で

房総半島に!
いや相浜の魚影に!

驚きとともに思い知らされました。

そして、地形の成り立ちや魚の群れ方がまるで伊豆とは違うことに

「これは全く伊豆とは違う面白い海だ!」

ということを知らしめられました。
(ちなみに今では房総半島の面白さにハマってしまい、坂田や西川名などにも潜りに行ってます)

そんなワクワクと素晴らしい景色を案内してくれたのが相浜ダイビングサービスの神村さん!
パラオ、サイパン、ペリリューと世界屈指のドリフトダイビングでのガイド経験からくる、徹底した安全への意識とストーリー性のあるガイディングが本当に素敵でした。

それでは気になる海の様子を!

※本記事は2021年11月の取材時のものです。2022年1月、ガイドの神村さんは相浜ダイビングサービスの運営から離れられました

相浜名物!360°イサキの大群に囲まれる

まず最初に潜ったのは、ダイゴ根というダイビングポイントです。

相浜のダイビングスタイルはドリフトダイビングとはいえ、ブイが設置されていて、水底までロープが繋がっています。
そのためドリフトダイビングではあっても、エントリー時はロープを掴んで潜降できるし、根のトップは水深10mちょっと。最大でも水深18mと非常に浅いダイビングポイントです。

さっそくエントリー!
するとロープに沿って水底に降りた瞬間、僕らダイバーに驚いたイサキが水面から一斉に降りてきました。

もちろんイサキだけじゃなくてタカベもシャワーのように降ってきます!

エントリーした瞬間からこの光景は確かに嬉しい。
確かにイサキもタカベも群れているけど、正直な感想は……

このくらいでは流石に”神子元クラスの魚影”というのは大袈裟だったんだなと思ってしまいました。

最大水深も18mと深くないし、この水深でこれだけ魚が見れたら、まあ楽しいか!
ちょっと残念になる気持ちと、それでも環境的にはすごく良いなと思う気持ちが半々に。

するとガイドの神村さんが、おもむろに根を離れて中層を泳ぎながらドリフトダイビングを開始。

そういえば事前のブリーフィングでも、エントリーポイントの群れを見た後はもう1か所見てもらいたい場所があると言っていたな。
そう思いながら緩い流れに乗って5分くらい進むと、砂地の奥に大きなせり立つような根。

そして……

その先にイサキの群れが出てきました。

ただ神村さんは、この群れは指さすだけでドンドン進んでしまう。

そして魚の中へ。

ここから、もう少し先に行くと、ドーーーンと出ました!

イサキの大群!!!

まるで大きな根が出現したのではないかと思うほど巨大な群れ!
正直写真じゃ収まりきらないくらいすごい!

しかもこのイサキの群れ、不思議なことに伊豆とは違い、全然泳いで逃げて行かないんです。
根の影の部分でじっと固まっている。

動きがすごくゆったりなので、無理なアプローチをしなければ本当に間近まで寄れる!!

この写真は違うタイミングに同じ場所で撮ったのですが、壁の様に群れてることもあれば、地を這う様に泳いでいることも!
この光景を見せられては、相浜は神子元クラスの魚影というのも納得です!

今回は流れがあまりなかったのでイサキのまとまりは悪く、写真として1枚の絵にするのは少し難しかったのですが、動画だとその群れの凄さが伝わるでしょう。

しかもこの相浜のダイビングがすごいのが、これだけの魚影が最大水深18mで楽しめてしまうんです。

相浜は遠浅の海。
水深10〜18m前後のフラットな砂地の上に、プレートの隆起によって作られた帯状の根が点在するような地形です。

そのため、どのダイビングポイントでも最大18mと、浅瀬でダイビングすることができます。

流れが強い時は中層ではなく地面に沿って移動することもできるし、根の裏で流れをかわすこともできる。
ドリフト初心者でもオススメできるダイビングポイントなんです!

また、伊豆では珍しいヒゲダイも房総半島ではお馴染みです。
ヒゲダイで有名な館山の西川名というダイビングスポットも隣なので、もちろん相浜にもいます。

根周りでは比較的ゆったり撮影を楽しむことができるので、こんなヒゲダイとイサキの群れを一緒に撮ることもできます。
ぜひ、贅沢にイサキとのコラボを狙ってみてください。

ほかにも房総半島には多い、テングダイやクエといった大型の魚も見られます。

とにかく魚だらけの光景

もちろん群れているのはイサキだけじゃない!
相浜の海は、本当にどこを見ても魚だらけの光景が広がっています。

例えば先ほどのイサキの群れを根の下側で見ていたとすると、その根のトップにはこんな感じでニザダイとメジナが群れていたり。

このニザダイたちも大きな群れになると、1つの巨大な生き物の様に大迫力!

他にも、沈められた魚礁には、そんなに量は多くなかったですが、写真のようにカゴカキダイが群れていました。

また、すぐに逃げていってしまいましたが、カゴカキダイやイシダイの中型のサイズが群れているのも見られました。
これも不思議で、伊豆半島ではイシダイが群れることはあまりありませんが、相浜では10〜20匹の集団で泳いでいました。

砂地をのんびり流している時には、実はコロダイの群れに出会っていたり、

安全停止中にツムブリが突っ込んできたりしたかと思えば、

ヒレナガカンパチがキビナゴにアタックするシーンも!

とにかくエントリーからエキジットまで魚魚魚だらけのダイナミックな光景続きなんです。

ここまで紹介すると、すごいハードな海なイメージを持ってしまいますが、根の影に入ってしまうと流れは全くなく、まったりしています。

こんな感じでキンメモドキが群れる癒しの光景も!

ドリフトダイビングでありながら、のんびり写真を撮れるポイントも多いのが本当にいい。

そして相浜がすごいのは魚影だけでも十分なのに、なんとアオウミガメにも高い確率で会うことができるんです。

ウミガメに会える確率も大!

そう!先ほどのキンメモドキの群れに癒されていたら、なんと目の前でアオウミガメが寝ていました。

驚かせてしまって本当に申し訳なかったけど、すごく良い場所での遭遇に、めちゃくちゃ興奮しました!

まるで海外の様な1枚に。

ただ、相浜のアオウミガメは沖縄などとは違い、ダイバーに慣れていません。
近寄るのは結構難しい。

僕も寝ていた子を除けば、このくらいが限界でした。

寄るのは苦戦しましたが、今回6ダイブ潜ったうち半分以上のダイビングでウミガメと出会うことができたので、1日で訪れても遭遇できる可能性は十分高いと思います。

相浜は都内から車で約2時間ほどで訪れることができます。
こんな身近な海でこうやって高確率でウミガメに会える日本の海って本当に贅沢ですね!

なぜドリフトダイビングなのか?

相浜は房総半島では唯一ドリフトダイビングができるダイビングスポットです。
とはいえ、相浜ではブイを打っているし、ブイの下だけでも十分に面白いんです。

ドリフトではなくボートに戻ってくるダイビングもできると思うのですが、ガイドの神村さんに聞くとあえてドリフトダイビングというスタイルを選んでいると言います。

まず大前提として神村さんはパラオのペリリューをはじめとする世界屈指のドリフトポイントでマネージャーを務めてきたほどのドリフトダイビングのスペシャリストです。

そして、相浜ではボートの乗船人数が決まっているため、ひとつのボートに乗るチームが1チームになります。
船がダイバーを追いやすい環境にあるんですね。

それを考えると、あえてブイに戻って来るために泳いでエア切れするよりも、面白いポイントまで行って、そのまま余裕を持って上がれる方が安全なんだとか。

確かに僕も撮影などではギリギリまで潜ってしまうことも多く、ドリフトでどこからでもエキジットに向かえると安心だなと思いました。

もちろんドリフトダイビングだと漂流のリスクなどもありますが、それは船長とあらかじめ合図を決めておくことで解決。
神村さんは絶えず船とエンジンの音でコンタクトを取るなど、様々な工夫(本当に僕も勉強になった)がたくさんあり安全管理には徹底されています。

ゲストだけじゃなく、インストラクターの方にとっても相浜の海で神村さんのドリフトの安全管理の話はものすごく勉強になると思います。

また1本目のようにダイビングの後半に向かうにつれて魚がドンドン増えていき、最後1番楽しかったところから、その思い出のままエキジットできるため、ガイドにもストーリーを作りやすいのだとか。

ストーリーのあるガイドってすごいいいですよね!

また神村さんは相浜をドリフトダイビングの練習ができる身近な海にしたいともおっしゃっていました。
確かに関東から日帰りで行きやすい海でドリフトができる場所は非常に少ないと思います。

初めてのドリフトダイビングが神子元島だと確かにハードルはすごい高い。
相浜はエントリーはブイで入ってエキジットはフロートを上げてドリフトダイビングができるし、最大水深も浅くドリフトダイビングの練習をするにはもってこいの場所です!

ドリフトダイビングに挑戦してみたい人にも相浜の海は非常にオススメです!

物凄い景色に練習どころじゃないくらい楽しんじゃいそうな気もしますが……笑。

絶品!おすすめのランチ「相浜亭」

相浜でのダイビングの帰りに、絶対寄ってほしいのがこの相浜亭でのランチ!
このボリューミーな海鮮ランチがなんと950円で超絶品!

お昼時は平日でも観光の方で大賑わいなほどの人気店です。

混んでいるにも関わらず、相浜亭はダイバーに非常に優しく、濡れたまま食事を食べれる席があったり、相浜ダイビングサービスまで持っていって食べることもできます。

せっかく房総まで来たなら、合わせてグルメも楽しんでみてください。

おわりに

相浜の海はぜひ伊豆ダイバーにこそ潜って欲しい!
同じドリフトダイビングや魚影を見るとしても伊豆とは全く違う群れ方をしていて、すごく新鮮な気持ちになれます。

また伊豆ではなかなか寄れないヒゲダイやクエも相浜だとなぜか結構寄れるんです。

全体的に魚と人との距離が近い気がします。
そして最大水深18mでできるドリフトダイビングは本当に貴重だと思います。

相浜の海はまだまだオープンしたてで、きっとこれから面白いダイビングポイントが開拓されていくことでしょう。

新ダイビングスポット相浜、みんなで盛り上げていきたいですね!

取材協力:相浜ダイビングサービス(http://aihama-ds.com/web/

■CHECK!■

本文中でもご紹介させていただきましたが、今回ご紹介した相浜でのダイビングについては、茂野優太さんのYoutubeでも紹介されています。合わせて、お楽しみください。

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茂野優太

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Under Water Creator。 1991年、神奈川県生まれ。 海・ダイビングの魅力を写真、映像、文章、ガイドなど、多様なアプローチで発信する。 伊...

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