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Scuba DivingのScubaってどういう意味?

その他

ダイビング。
そう、僕たちが愛してやまない、他のどんな遊びも敵わない遊び。

みなさんに「ダイビング」と言えば、即座にスクーバダイビングのことを思い浮かべるでしょう。

しかし、世の中でダイビングと言えば、ダイビングキャッチや水泳の高飛び込みの様に、飛び込むといったニュアンスの方が強いかもしれません。

実際、日々ネタ探しをするため、Googleアラートに『ダイビング』というキーワードを登録していると、入ってくるニュースは『●●が決勝ダイビングヘッド』『●●が逆転を阻止するダイビングキャッチ』といったニュースばかり…

スクーバダイビング頑張れ。

ところで、これらの『飛び込む系』と区別するために付けられる『スクーバ』という言葉。

これ、どういう意味か知っていますか?

先に言っておくと、潜る、は英語でDiveなので、Scubaに潜るという意味はありません。
また、湖などに潜ることもスクーバダイビングなので、海に潜るという意味でもありません。

SCUBAとは

実はScubaという言葉、それ自体が単語として成立しているわけではありません。
※現在は単語として定着していますが。

どういうことかというと、元々はスクーバダイビングを行う器材を表したものの頭文字をとったものでした。
世界遺産で皆さんご存知のユネスコ、United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization(国際連合教育科学文化機関)みたいなもんです。

Scubaとは

Self Contained Underwater Breathing Apparataus

日本語に訳すと自給式水中呼吸装置です。

ここでちょこっとダイビングの歴史のお話。

19世紀~20世紀初頭にかけて次々と発明され、ウィリアム・ジェームス、ブノワ・ロカイヨール、オーギュースト・ドルネーズ、大串岩雄、浅利熊記、などなど様々な人物が現在のレギュレーターの原型になるものを開発しました。

そう、第1次世界大戦の頃には日本人も開発しており、大戦で撃沈され水深80mに沈んだ八坂丸から、現在の日本円にして23億円相当の金貨を回収したんだとか。

ただ、どれも広く普及したかというとそうではなく、レギュレーターの開発者として最も有名なのはジャック・イブ・クストーです。

1943年にクストーは開発したレギュレーターの特許を取得し、『水中の肺』を意味する『Aqua-lung:アクアラング』という名をつけると、広く普及させることに成功しました。
日本にもクストーが開発したレギュレーターは普及し、当時からしばらくはスクーバダイビングそのものを指して『アクアラング』と呼ばれていました。

今でも年配の方、とりわけノンダイバーの年配の方の中には、その名で呼ぶ方も少なくありません。

もうピンと来ている方が多いかもしれませんね。

現在、アクアラングといえば日本でもダイビング器材で大きなシェアを誇るアクアラング社のことですが、実はダイビングの歴史が詰まった名前だったんですね。

あ、別にアクアラングの回し者でもなんでもありません(笑)

ちなみにレギュレーターの仕組みはクストーが開発した物から大きくは変わっていません。
レギュレーターの仕組みについて詳しくはこちらからどうぞ!

【レギュレーター】ダイヤフラム?ピストン?

スクーバの対義語

自給式でない、つまり陸上や船の上からホースを使って空気を送ってもらう方式のことはなんというのでしょう?

空気を送るホースのことをフーカ―ホースと呼ぶことから、フーカ―潜水と呼ばれています。

kazikaより引用

写真のオレンジ色のホースですね。

じゃあフーカ―(Hookah)はなんの頭文字なのか…

こちらは頭文字ではありません。

なんでも、かつてアヘンなどの麻薬を吸う際に使われる器具の名前(hookah)に由来するのだとか。

そこは頭文字であって欲しかった…
そして、怪しいものから名前を取らないで欲しかった…

スクーバの範囲

ここまでの話で、スクーバという言葉は本来ダイビング活動自体ではなく、器材のことを指すことがおわかりかと思います。

もちろん現在では、ダイビング活動そのものの事も指しますが。

普通、スクーバダイビングで使用する器材、中でも呼吸に使用する器材と言えば、タンク(シリンダー)とレギュレーターですね。

しかし、スクーバは本来自給式、つまり自分で呼吸源を持って歩いていればOKです。
いや、歩かないですね。泳いでいれば。(笑)

僕らがイメージするもの以外にそんなものがあるのか…

あるんです。

リブリーザーと呼ばれる特殊な器材がそれにあたります。

僕らが普段使用する器材は、厳密に言うと

オープン・サーキット・スクーバ

と言います。

タンクから空気を吸い、吐いた空気は全て水中に吐き出しますよね。
だから、オープン:開放です。

この吐いた空気、もっかい集めて吸えば、エアの節約になるんじゃないか、なんてことを考えたことはありませんか?
僕はあります。なんなら試したこともあります。(良い子はマネしないでね)

それを実現するのがリブリーザー。

SCUBA FORCEより引用

吐いた空気にも酸素が含まれているとはいえ、酸素が薄くなっている状態なので、そこに適切な量の酸素を追加して再び呼吸に利用できるようにする機械です。

吐いた息の全てを利用するものをクローズド・サーキット・リブリーザー、一部を再利用し、一部を外に排出するセミクローズド・サーキット・リブリーザーと言います。

このリブリーザー、通常の(オープン・サーキット)スクーバとは大きく異なる見た目からも想像できる通り、使用するには別途講習を受ける必要があり、テクニカルダイビングの中に分類されています。
※一部、レクリエーショナルダイビング(通常のダイビング)の範疇にリブリーザーを取り入れようという動きもあります。

リブリーザーを使うことで、潜水時間を長くすることが可能なだけでなく、吐いた泡の音で魚がビックリして逃げる、ということが無いので、通常の(オープン・サーキット)スクーバよりも魚に寄ることが出来ます。

リブリーザーについてさらに詳しくは、またの機会に…

スクーバとスキューバ

さて、ここまではスクーバという言葉そのものについてご紹介して来ました。
スクーバ、スクーバと言っていますが、ずっと違和感を持っている方もいるかもしれませんね。

スキューバじゃないの?

と。

実際、テレビなどではスキューバと表記されることの方が多い気がします。

これに関してはヨーロッパ風の発音か、英語風の発音か、ということの様で、スキューバはヨーロッパ風、スクーバは英語風の読み方です。

そういえば、同じ様に発音によって混在するものとしてシュノーケルとスノーケルがありますが、シュノーケルはドイツ語風、スノーケルは英語風。
ヨーロッパ風の発音を日本人が聞くと、小さいヤ・ユ・ヨが入って聞こえるのでしょう。

ちなみに器材メーカーや指導団体によって組織されている日本スクーバ協会では、同じものを指す言葉が複数あると混乱を招きかねないということで、2012年に様々な語句の統一を行いました。
その際にスクーバとスキューバも取り上げられ、スクーバで統一しようと決定しました。

様々な用語に関して、推奨用語、使用注意、使用不可、などの指針を出したですが、なんとスキューバは使用不可。

広く世の中に普及しているスキューバを使用不可にし、スクーバに統一した理由?
日本スクーバ協会 機器基準策定委員会用語統一指針(PDFが開きます)によると…

『スクーバ協会という名でもあることから、「スクーバダイビング」に統一』

いや、なんか、その、良いけども…もう少しもっともらしい理由が欲しかった…(笑)

ただ、この決定が功を奏してか、ダイビング業界の人はほとんどの人が『スクーバ』を使用している気がします。

比べてみた

では実際のところ、世の中的にはどちらが普及しているのでしょう?

検索でのヒット数(2019年10月1日現在)

スクーバ:2,620,000件
スキューバ:15,500,000 件
→スキューバがスクーバの約6倍

スクーバダイビング:10,200,000件
スキューバダイビング:10,500,000件
→スキューバダイビングの辛勝。

ダイビング、までを含めると混在、ただしダイビングを省略すると、とたんにスキューバと書かれることの方が多い、ということでしょうか?

検索数(2018年10月~2019年9月)

スキューバが平均約11倍の圧勝です。

完全一致。

なるほど、これでわかりました。

Googleは『スクーバダイビング』と『スキューバダイビング』は同じものと捉え、検索結果も表示している様です。
一方で『スクーバ』と『スキューバ』は同一視していない様ですね。

そして、検索ヒット数、つまり書く側ではダイビング業界の人々が『スクーバ』を好んで使うこともあってか、その差は6倍程度で収まっていますが、読む側の意思を反映した検索数では11倍と、圧倒的に『スキューバ』。

つまり…

世の中的にはスキューバ

で決まりです。

いやこれ、『スクーバ協会という名でもあることから』なんて理由より、世の中のニーズを反映した説得力のある理由なんじゃ…

まとめ

SCUBAはSelf Contained Underwater Breathing Apparatausの略。

スクーバとスキューバは発音の違いで、ダイビング業界的にはスクーバ。
だだし、世の中的にはスキューバ。

スクーバvsスキューバ論争を始めてしまうと、大人たちを巻き込みつつ最終的には叩かれる気しかしないので、そもそもスクーバもスキューバもつけなくても、『ダイビング』といえばスキューバダイビング(しれっと心変わり)を指す様な世界になれば解決!(笑)

Googleアラートに『ダイビング』と登録すれば、ダイビングヘッドやダイビングキャッチではなく、海の話ばかりが飛び込んでくる様な世界になって欲しいな、なんて思います!(笑)

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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