でっち日記~八丈島より①~
ぼくは2013年の8月一杯、八丈島のダイビングサービスで「でっち」していました。
伊豆は大瀬崎でダイビングを始めたぼくが、初めての海で初めてサービスのお手伝いをした経験。
言うまでもなく、「でっち」しなければ経験できない初めてのことだらけのひと月でした。
そもそもぼくが「でっち」することになった経緯をお話しすると
「せっかくの大学生の夏休み、何か今しかできないことがしてみたいな」
と思っていた矢先に、お世話になっているインストラクターさんから
「八丈島のお店手伝ってみない?」
と聞かれたことに端を発します。
「南国八丈島でのダイビングショップのお手伝い!何だかオシャレだし、かっこいいぞ!何より、潜り放題じゃないか!」
そう思ったぼくは「行きます!」と即答、八丈島のスタッフさんと連絡を取ることになりました。
実際思い出してみると、八丈島で経験した「初めてのこと」は、オシャレでもなんでもないことだったりしましたが(笑)
ダイビングショップで「でっち」するということはそういうものだな、と今になって思います。
「でっち」の内容はざっくり言えば、
「陸でも海でもアシスタントとして振る舞い、お客さんとダイビングすること」
になります。
陸では朝からレンタル器材を準備したりお客さんのアテンドをして、現場ではお客さんの器材のセッティングをしたり。
エントリーしたらガイドの第二の目としてチームのケツもちを行い(隙を見て遊んでいましたが笑)、陸に上がれば器材など諸々の片づけを行っていました。
これはサービスにもよりますがぼくがお世話になったサービスに関しては宿泊施設も併設していたので、そっちの掃除や炊事も「でっち」の活動の一つでした。
そうそう、ちなみに島に行く前ぼくは経験本数30本程度でしたが、夏の終わりには100本近くになっていました(一ヶ月いれば、サービスによってはもっと潜ることになると思います)。
どうにかこうにか、ガイドさんに迷惑をかけないくらいのスキルを身に着けることができたと思います。
スキルについては「自分のことは自分でできる」くらいのものがあれば、何とかなります。
まぁ要するにやっていることは「雑用」に限りなく近いのが「でっち」です。
中身を見ればオシャレさなんて微塵もありませんし(笑)、毎日早朝から夜遅くまで動き回ってばかりになります。
大好きなダイビング関わっているとは言え、体力的なキツさも伴いました。
ただ先述したように、当時「でっち」での経験はぼくにとって初めてのもの。
全ての「雑用」がダイビングに繋がっていると思えば「その日のダイビングを効率良く行い、お客さんに一日を楽しんでもらおう」と、「雑用」一つ一つに意味が生まれてきます。
「雑用」がひとつの重要なものとして見られるようになった、と言えるでしょうか。
この視点は、一度「でっち」してみないと得られないものかもしれません。
何より「でっち」をして一番良かったなと思うこと、それは「ダイビング漬けになること」です。
何を当たり前のことを、思うかもしれませんが、あなたは毎日「同じ場所だけど少しずつ姿を変える海」に潜ったことがありますか?
毎日夜遅くまで、その日のダイビングを最高のものだと感じてくださったお客さんとダイビングについて語り合ったことがありますか?
ぼくはあの日々で自分のダイビング観のようなものが形成されたと思っていますし、ダイビングがより一層好きになりました。
「でっち」をして人によって思うことは様々でしょうが、そんな毎日を送って思うことそのものが「でっち」で得られる一番の財産です。
一ヶ月も海で過ごせば、得られるものは様々です。
ダイビングについての意識が変わるかもしれませんし、大学生にして仕事観が備わるかもしれません。
はたまた、人とのコミュニケーションについて、新たな発見があるかもしれません。
そんな自分にとってのかけがえのない財産は、好きなことに時間を費やし続けることでしか得られない成長だと思うんです。
少なくともぼくにとって、八丈島での「でっち」はそういうものでした。
何だかあまり具体的な話もなく長々と駄文を綴ってしまった気もしますが……
これを読んで、「でっち」のイメージを膨らませていただければ、と思います。
この日記を書いた人
じろー(平井 健二郎)
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